
危険物乙4
危険物乙4 3科目まとめ|法令・物理化学・性質消火の重要論点
危険物乙4の3科目とは?
危険物取扱者乙種第4類試験の出題範囲は、以下の3科目・計35問・五肢択一・試験時間120分に整理されています。3科目それぞれで60%以上の正答率が合格基準で、1科目でも基準を下回ると総合点に関わらず不合格になる「足切り方式」です。
- 危険物に関する法令(15問・60%=9問以上で合格) — 消防法・政令・規則の条文知識
- 基礎的な物理学及び基礎的な化学(10問・60%=6問以上で合格) — 燃焼・消火の基礎理論
- 危険物の性質並びに火災予防及び消火の方法(10問・60%=6問以上で合格) — 第4類各品名の知識
本記事では、各科目の頻出論点・覚え方のコツ・混同しやすいポイントを1記事に集約しました。テキストを読み終えた後の総まとめ、試験直前の見直しにご活用ください。
1. 危険物に関する法令(15問)
消防法および「危険物の規制に関する政令・規則」の条文知識を問う科目。暗記中心で得点しやすい。
頻出論点
- 危険物の分類 — 第1類(酸化性固体)/第2類(可燃性固体)/第3類(自然発火性・禁水性)/第4類(引火性液体)/第5類(自己反応性物質)/第6類(酸化性液体)の6分類
- 第4類の7区分 — 特殊引火物・第1石油類・アルコール類・第2石油類・第3石油類・第4石油類・動植物油類
- 指定数量 — 特殊引火物50L/第1石油類200L(非水溶性)または400L(水溶性)/アルコール類400L/第2石油類1,000L/第3石油類2,000L/第4石油類6,000L/動植物油類10,000L
- 免状3種 — 甲種(全類取扱・立会可)/乙種(指定の類のみ取扱・立会可)/丙種(第4類の一部のみ取扱可・立会不可)
- 免状の書換え — 本籍・氏名・写真(10年経過)に変更があった場合(住所変更は不要)
- 保安距離 — 学校・病院(30m以上)/住居(10m以上)/重要文化財(50m以上)/高圧ガス施設(20m以上)
- 定期点検 — 1年に1回以上、点検記録は3年間保存
- 保安監督者 — 製造所・屋外タンク貯蔵所・給油取扱所・移送取扱所等で必須。乙4以上の有資格者かつ実務経験6か月以上から選任
- 保安講習 — 危険物取扱作業に従事している取扱者のみ受講義務あり。3年以内に1回
- 運搬時の混載禁止 — 第4類は2・3・5類とOK、1・6類はNG(覚え方:「4類は1と6に注意」)
- 移動タンク貯蔵所 — 危険物取扱者の乗車義務(甲・乙4・丙のいずれか)、免状の携帯
- 指定数量未満 — 消防法ではなく市町村の火災予防条例で規制
覚え方のコツ
「指定数量の数字」と「保安距離の数字」は語呂合わせで暗記。例: 「ガソリン200L、灯油1000L、重油2000L → 200倍ずつ」(ガソリン→灯油は5倍ではなく実質「カテゴリが上がる」と覚える)。混載禁止は「4類は2・3・5とOK、1・6はNG」を呪文化。
2. 基礎的な物理学・化学(10問)
燃焼・消火・酸化還元・状態変化など化学・物理の基礎理論。理系出身者は得意、文系出身者は時間がかかりがち。
頻出論点
- 燃焼の三要素 — 可燃物・酸素供給源・点火源(熱)。3つのうち1つでも欠けば燃焼しない
- 消火の三要素 — 除去(可燃物除去)・窒息(酸素遮断)・冷却(熱を奪う)。これに「抑制」を加えて四要素とも
- 引火点 — 火源があれば引火する蒸気を発生する最低温度(ガソリン−40℃以下/灯油40℃以上/重油70℃以上)
- 発火点 — 火源なしで自然発火する最低温度(ガソリン約300℃)
- 燃焼範囲(爆発範囲) — 可燃性蒸気と空気の混合気が燃焼する濃度範囲(vol%)。下限値が小さい・範囲が広いほど危険
- 蒸気比重 — 第4類はほぼすべて空気より重い → 蒸気は床面に滞留しやすい → 換気は床面排気が効果的
- 液比重 — ガソリン・灯油等は水より軽い(比重1未満)かつ非水溶性 → 水で消火すると油が水面に広がり危険
- 静電気 — 第4類危険物は不導体のため流動・摩擦で静電気が発生・蓄積し、放電火花で引火 → 給油時の接地(アース)が必須
- 酸化と還元 — 酸化=酸素と結合/水素を失う/電子を失う反応。還元はその逆
- 燃焼の形態 — 蒸発燃焼(液体・低融点固体/第4類はすべてこれ)/表面燃焼/分解燃焼/自己燃焼/拡散燃焼
- 熱の伝わり方 — 伝導・対流・放射(輻射)の3種
- 触媒 — それ自身は反応の前後で変化せず、反応速度を変える物質
- 比熱 — 物質1gの温度を1℃上げるのに必要な熱量。水は最大級で冷却消火に最適
- 自然発火 — 動植物油類(特に乾性油=アマニ油等)が酸化発熱で発火しやすい
覚え方のコツ
「引火点 vs 発火点」の対比は最頻出。「引火」は火源あり、「発火」は火源なし。「燃焼範囲は下限値が小さい・範囲が広いほど危険」を絶対暗記。第4類の蒸気は空気より重い→床面滞留もセットで覚える(ガス漏れ警報器を床面付近に置く理由)。
3. 危険物の性質並びに火災予防・消火の方法(10問)
第4類各品名の引火点・指定数量・消火方法。「数字の暗記が9割」の科目で、対策の中心。
頻出論点(第4類7区分の特徴)
- 特殊引火物(指定数量50L) — ジエチルエーテル(引火点−45℃)/二硫化炭素(引火点−30℃、発火点約90℃)/アセトアルデヒド/酸化プロピレン。最も危険、二硫化炭素は水中保管
- 第1石油類(指定数量 非水溶性200L/水溶性400L) — ガソリン(引火点−40℃以下)/ベンゼン(−10℃)/トルエン(4℃)/アセトン・ピリジン(水溶性)
- アルコール類(指定数量400L) — メタノール(引火点11℃)/エタノール(13℃)/1-プロパノール。水溶性、火災時は耐アルコール泡が必要
- 第2石油類(指定数量 非水溶性1,000L/水溶性2,000L) — 灯油(引火点40℃以上)/軽油(45℃以上)/キシレン/クロロベンゼン(非水溶性)/酢酸(水溶性)
- 第3石油類(指定数量 非水溶性2,000L/水溶性4,000L) — 重油(引火点70℃以上)/クレオソート油/ニトロベンゼン/アニリン(非水溶性)/グリセリン/エチレングリコール(水溶性)
- 第4石油類(指定数量6,000L) — ギヤー油・シリンダー油・潤滑油等。引火点200℃以上250℃未満
- 動植物油類(指定数量10,000L) — アマニ油・キリ油・ヤシ油等。乾性油(ヨウ素価130以上)はボロ布に染み込んで自然発火しやすい
消火方法
- 第4類火災に水(棒状放水)はNG — 比重が水より軽く非水溶性のため、油が水面に広がって火災拡大
- 有効な消火器 — 粉末(リン酸塩類)・泡・二酸化炭素・ハロゲン化物(窒息消火)
- アルコール火災 — 水溶性のため通常の泡が消えてしまう → 耐アルコール泡(AR-AFFF)が必要
- 霧状(噴霧)放水 — 第4類でも引火点の高いものには有効な場合あり
覚え方のコツ
「引火点の桁感」を完璧に: ガソリン−40℃以下/灯油・軽油40℃台/重油70℃以上/第4石油類200℃以上。「指定数量の倍々ゲーム」: 特殊引火物50L → 第1石油類200L(4倍)→ 第2石油類1,000L(5倍)→ 第3石油類2,000L(2倍)→ 第4石油類6,000L(3倍)→ 動植物油類10,000L。詳しくは第4類品名30選を参照。
科目横断の頻出パターン
乙4は科目ごとに学びますが、本番では科目を横断する論点もよく出ます。
- 指定数量 × 法令 × 計算 — 「ガソリン100Lと灯油500Lの指定数量倍数を求めよ」のような計算は法令と性質消火を横断。指定数量倍数計算ツールで対策。
- 引火点 × 燃焼範囲 × 蒸気比重 — 第4類危険物の物理特性として3科目すべてに関わる。
- 静電気 × 給油取扱所 × 安全基準 — 物理化学(静電気の発生メカニズム)と法令(給油取扱所の基準)が連動。
- 消火方法 × 第4類各品名 × 消火設備 — 性質消火と法令を横断。アルコール火災に耐アルコール泡が必要な理由は化学的特性から。
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よくある質問(FAQ)
Q. 危険物乙4の3科目で配点が多いのは?
A. 法令15問・物理化学10問・性質消火10問の計35問。配点は法令が最大ですが、3科目それぞれで60%以上を取る必要がある足切り方式のため、配点の多寡より「全科目で6割以上取る」ことが最優先。
Q. 3科目の中で最も難しいのはどれですか?
A. 個人差はありますが、文系出身者は『物理化学』で苦戦する傾向。理系出身者は『法令』の条文暗記に時間がかかる場合があります。『性質消火』は数字の暗記中心なので、努力が直接得点に反映されやすい。
Q. 3科目の足切り(60%未満)に注意とは?
A. 乙4試験は3科目それぞれで60%以上の正答率が必要です。法令15問中9問以上、物理化学10問中6問以上、性質消火10問中6問以上。1科目でも60%未満があると不合格。
Q. 計算問題は何問くらい出る?
A. 計算問題は主に『指定数量倍数』を求める問題が法令科目で1〜2問、物理化学では「比重から液体の重さを計算」「引火点と気温の関係」など軽めの計算が含まれます。複雑な計算は少なく、暗記中心の試験です。