
簿記1級
簿記1級の試験制度|4科目・足切り40%・年2回・受験料8,800円をまとめて解説
簿記1級は4科目構成
日商簿記検定1級は、商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算の4科目で構成されます。2級までの「商業簿記+工業簿記」の2科目体制と違い、会計学と原価計算がそれぞれ独立した科目として加わる点が最大の特徴です。
| 区分 | 科目 | 試験時間 |
|---|---|---|
| 前半 | 商業簿記・会計学 | 90分 |
| 後半 | 工業簿記・原価計算 | 90分(途中休憩あり) |
試験開始時刻は9:00。前半(商業簿記・会計学)と後半(工業簿記・原価計算)はセットでの実施で、前半のみ・後半のみといった部分受験はできません。1日で計4科目、合計180分の長丁場を通しで受け切る必要がある試験です。
合格基準|70%以上、ただし1科目でも40%未満なら不合格
この記事でもっとも重要な数字がここです。簿記1級の合格基準は合計70%以上。ここまでは他の級と同じですが、1級には1科目ごとの得点が40%以上であることという条件が追加されます。1科目でも40%を下回ると、たとえ合計点が70%を超えていても不合格になります。
この40%という基準は科目ごとに個別に適用される点がポイントです。合計点をいくら積み上げても、どこか1科目が40%未満に沈んだ時点でアウトになる、というのがこの試験の設計です。
裏を返せば、得意科目で圧倒的に稼いで、苦手科目を切り捨てるという他の資格試験でよくある戦略が、この試験では成立しません。4科目すべてを合格ラインの近くまで仕上げることが、制度上、避けて通れない前提になります。
受験料・受験資格・実施回
- 受験料: 8,800円(税込)。
- 受験資格: 制限はありません。年齢・学歴・実務経験を問わず、誰でも受験できます。
- 実施回: 統一試験のみ、年2回(6月・11月)。
- ネット試験(CBT)は実施されていません。 2級・3級はCBT方式で随時受験できますが、1級は統一試験の年2回のみが受験機会です。
- なお、例年2月にも統一試験の回がありますが、2月回は2級・3級のみの実施で1級は対象外です。
直近の試験日は、第173回が2026年6月14日、第174回が2026年11月15日です。2027年2月28日の第175回は2級・3級のみの実施で、1級の次回受験機会にはなりません。申込時期の目安や合格率の推移とあわせた日程の詳細は『簿記1級の試験日程・申込期限・合格率まとめ』に整理しています。
年2回・CBTなしという実施形態は、後述する学習計画にも直結します。1回受験に失敗すると、次のチャンスまで半年空くという構造を、まず制度として押さえておく必要があります。
合格率の推移
実受験者ベースの合格率を、直近の回から遡って並べたものが下表です。単一の代表値ではなく、回ごとの振れ幅として捉えてください。
| 回 | 合格率 |
|---|---|
| 第171回 | 15.2% |
| 第170回 | 14.0% |
| 第168回 | 15.1% |
| 第167回 | 10.5% |
| 第165回 | 16.8% |
| 第164回 | 12.5% |
| 第162回 | 10.4% |
| 第161回 | 10.1% |
8回分のレンジで見ると10.1%〜16.8%の間で推移しており、回によって数ポイントの差があります。実受験者数は毎回約8,900〜10,600名です。1科目でも40%を下回れば不合格になる制度設計を踏まえると、この合格率の水準は「4科目のどれかで足切りに引っかかる受験者が一定数いる」ことを反映していると読むのが自然です。
合格者の特典
簿記1級の合格には、資格そのものの証明以外にも制度上の特典が付きます。
- 税理士試験の受験資格が得られます。
- 職業能力開発促進法の指導員資格試験で、事務科の試験科目の一部が免除されます。
- 大学の推薦入学で有利に働くケースがあります。
特に税理士試験の受験資格につながる点は、簿記1級を単なる「上位資格」ではなく「次のキャリアへの通過点」として位置づける受験者が多い理由のひとつです。簿記1級に合格すると税理士試験の受験資格が得られます(出典: 商工会議所)。税理士試験の受験資格の詳細は国税庁の税理士試験ページで確認してください。
科目構成・時間割・足切りの基準など、本記事で扱った試験制度の要点を自分で確認しておきたい場合は、簿記1級 試験制度クイズでクイズ形式のまま理解度をチェックできます。
よくある質問(FAQ)
Q. 簿記1級は前半だけ、後半だけ受験できますか?
A. できません。試験開始は9:00で、商業簿記・会計学の前半90分、工業簿記・原価計算の後半90分(途中休憩あり)をセットで受験する必要があります。部分受験の制度はありません。
Q. 合計70%取れれば合格ですか?
A. 合計70%以上に加えて、1科目ごとの得点が40%以上であることが必要です。1科目でも40%未満だと、合計点がどれだけ高くても不合格になります。
Q. 前半(商業簿記・会計学)は1つの科目としてまとめて採点されますか?
A. いいえ。前半90分は商業簿記と会計学をまとめて実施しますが、採点は科目ごとに別々です。合格には商業簿記・会計学それぞれで40%以上の得点が必要で、同じ時間枠で実施されることと、科目ごとの足切りが別枠であることは別の話です。
Q. 前半の出来が悪くても、後半で挽回できますか?
A. 合計点は挽回できても、40%の足切りは科目ごとに適用されます。前半の商業簿記・会計学のどちらかが40%未満のままだと、後半(工業簿記・原価計算)でどれだけ得点しても不合格になります。
Q. ネット試験(CBT)で受けられますか?
A. 簿記1級にネット試験はありません。統一試験のみ、年2回(6月・11月)の実施です。例年2月にも統一試験の回がありますが、2月回は2級・3級のみが対象で、1級は実施されません。
Q. 受験資格に制限はありますか?
A. ありません。年齢・学歴・実務経験を問わず誰でも受験できます。3級・2級の合格を経ていなくても、いきなり1級から受験することも可能です。
Q. 合格するとどんな特典がありますか?
A. 税理士試験の受験資格が得られます。また、職業能力開発促進法の指導員資格試験では事務科の試験科目の一部が免除されます。大学の推薦入学で有利に働くケースもあります。
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