
簿記1級
簿記1級と2級は何が違うのか|科目構成・合格率・受験機会・足切りを数字で比較
科目構成の差|2科目から4科目へ
簿記2級は商業簿記+工業簿記の2科目構成です。これに対して簿記1級は、商業簿記・工業簿記に加えて会計学と原価計算がそれぞれ独立した科目として立ち上がり、合計4科目構成になります。「2級の延長線上に会計学と原価計算が積み上がる」というより、科目数そのものが2倍になるという変化として捉えたほうが実態に近い試験です。
この科目数の違いは、後述する試験時間・合格基準・学習範囲のすべてに影響します。2級が1つの試験時間枠(90分・商工混在)で完結するのに対し、1級は商業簿記・会計学で90分、工業簿記・原価計算で90分という前後半2部構成で、合計180分の試験になります。
なお2級の出題は5題以内で構成されます(出典: 商工会議所 2級試験科目ページ)。
合格率の差
実受験者ベースの合格率を、直近の回から遡ってそれぞれ並べます。
| 回 | 合格率 |
|---|---|
| 第171回 | 15.2% |
| 第170回 | 14.0% |
| 第168回 | 15.1% |
| 第167回 | 10.5% |
| 第165回 | 16.8% |
| 第164回 | 12.5% |
| 第162回 | 10.4% |
| 第161回 | 10.1% |
| 回 | 合格率 |
|---|---|
| 第172回 | 15.1% |
| 第171回 | 23.6% |
| 第170回 | 22.2% |
| 第169回 | 20.9% |
| 第168回 | 28.8% |
| 第167回 | 22.9% |
1級の8回分は10.1%〜16.8%のレンジ、2級(統一試験)の6回分は15.1%〜28.8%のレンジで推移しています。どちらも回によって数ポイントの振れがありますが、レンジの上限・下限を比べると、1級は2級の統一試験よりも低い水準に張り付いていることが分かります。
受験機会の差
- 簿記1級: 統一試験のみ、年2回(6月・11月)。ネット試験(CBT)はありません。
- 簿記2級: 統一試験が年3回(6月・11月・2月)に加えて、ネット試験(CBT)が随時受験できます。
2級は「統一試験の回を逃してもCBTで随時再挑戦できる」のに対し、1級は「統一試験の年2回のみ」で、CBTという代替手段がありません。同じ「不合格だった場合の次の機会」でも、2級は数週間〜数か月単位、1級は半年単位という差が生まれます。
受験料の差
受験料は2級が5,500円(税込)、1級が8,800円(税込)です。差額は3,300円(8,800円 − 5,500円)で、科目数が2倍になることと合わせて考えると、1回あたりの受験コストも1級の方が高く設定されています。
足切りの有無
1級の合格基準は合計70%以上、かつ1科目ごとの得点が40%以上という条件付きです。1科目でも40%を下回ると、合計点が70%を超えていても不合格になります。2級の合格基準は「70%以上」であり、1級のような1科目ごとの下限は設けられていません。「1科目でも大きく苦手なままでは通らない」という制約が明記されているのは1級の合格基準の特徴であり、これが2級から1級に進むときに学習計画を作り直す必要がある理由のひとつです。
したがって2級では、一方の科目が仮に苦手でも、もう一方の科目で大きく上回ることで合計点をカバーする戦略が理論上成立します。これに対して1級では、4科目のうち1科目でも40%を下回れば合計点にかかわらず不合格になるため、この「得意科目で苦手科目を穴埋めする」戦略は使えません。
まとめ|落差は数字にはっきり表れる
科目数は2倍、試験時間は90分から180分(前後半2部制)、受験料は5,500円から8,800円、受験機会は年3回+CBT随時から年2回・CBTなしへ。そして合格基準には1科目40%以上という条件が新たに加わります。2級の延長線上の対策では足りないというのが、この一連の数字が示す結論です。2級から1級への学習計画を立てる際は、まずこの制度面の落差を正確に把握することが出発点になります。
よくある質問(FAQ)
Q. 2級から1級になると科目はどう変わりますか?
A. 2級は商業簿記+工業簿記の2科目ですが、1級は会計学と原価計算がそれぞれ独立科目として加わり、合計4科目になります。試験時間も2級の1枠に対し、1級は前半90分・後半90分の2部制です。
Q. 合格率はどれくらい下がりますか?
A. 直近データで、1級は10.1%〜16.8%のレンジ、2級(統一試験)は15.1%〜28.8%のレンジで推移しています。回によって上下しますが、レンジの水準を比べると1級の方が低く張り付いています。
Q. 受験機会はどれくらい減りますか?
A. 2級は統一試験が年3回(6月・11月・2月)に加えてネット試験が随時受けられますが、1級は統一試験のみ年2回(6月・11月)で、ネット試験はありません。
Q. 受験料はいくら上がりますか?
A. 2級の5,500円(税込)から1級の8,800円(税込)へ、3,300円上がります。
Q. 足切りはありますか?
A. 1級の合格基準には「合計70%以上、かつ1科目ごとの得点が40%以上」という条件が明記されています。2級の合格基準は「70%以上」であり、1級のような1科目ごとの下限は設けられていません。
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