
FP3級
FP3級 実技試験完全ガイド|資産設計提案業務 vs 個人資産相談業務 違いと選び方
FP3級「実技試験」とは?学科とは別に必須
FP3級は、合格証を手にするために「学科試験」と「実技試験」の両方に合格する必要があります。学科試験は知識を問うマークシート形式(CBTでは選択式)の試験で、実技試験は事例(ケーススタディ)に基づいた応用問題を解く試験です。両方一度に合格しなくてもよく、片方だけ合格した場合は『科目合格』として翌々年度末まで有効になります。
実技試験という名前ですが、面談や口頭試問があるわけではなく、すべてペーパーまたはCBT上での選択式です。計算過程を書く必要はなく、最終的な数値や正しい説明文を選ぶだけ。電卓と係数表が使えるため、知識さえ整理されていれば合格点(60点/100点満点)には十分届く設計になっています。
FP3級は2つの実施団体から選んで受験する
FP3級の試験を実施しているのは、以下の2団体です。受験申込み時にどちらかを選択し、合格証も実施団体名で発行されます。
- 日本FP協会(特定非営利活動法人 日本ファイナンシャル・プランナーズ協会)
- 金融財政事情研究会(金財)(一般社団法人 金融財政事情研究会)
注意点として、学科試験はどちらの団体でも同じ問題が出題されます。学科は完全共通で、実技だけが団体ごとに違うのです。実技の選択科目もそれぞれ異なるため、ここから実技をどう選ぶかが受験戦略の最初のポイントになります。
実技試験で選べる3つの科目
実技試験の科目は、団体ごとに以下のように分かれています。
| 実施団体 | 選べる実技科目 | 主な対象者 |
|---|---|---|
| 日本FP協会 | 資産設計提案業務(1科目のみ) | 独学者・主婦・学生・業界未経験者 |
| 金財 | 個人資産相談業務 | 銀行員・証券会社・ライフプラン業務担当者 |
| 保険顧客資産相談業務 | 生損保会社・代理店勤務者 |
つまり、実技試験は「日本FP協会の資産設計提案業務」「金財の個人資産相談業務」「金財の保険顧客資産相談業務」の3択から1つを選んで受験する形になります。
3つの実技試験を比較
3科目の試験仕様を一覧で比較します(2026年度時点)。
| 項目 | FP協会 資産設計提案業務 | 金財 個人資産相談業務 | 金財 保険顧客資産相談業務 |
|---|---|---|---|
| 試験時間 | 60分 | 60分 | 60分 |
| 問題形式 | 三答択一式(マークシート/CBT選択) | 事例形式(5題×3問=15問) | 事例形式(5題×3問=15問) |
| 問題数 | 20問 | 15問(5事例) | 15問(5事例) |
| 合格基準 | 100点満点中60点以上 | 50点満点中30点以上 | 50点満点中30点以上 |
| 合格率(直近平均) | 約80% | 約60% | 約50% |
| 難易度 | ★☆☆(やさしめ) | ★★☆(標準) | ★★★(やや難) |
| 受験者数規模 | 非常に多い | 中程度 | 少なめ(業界限定) |
| 出題分野の偏り | 6分野ほぼ均等 | ライフ・タックス・不動産・相続中心 | リスク管理・タックス・相続中心 |
合格率の差は受験者層の違い(金財は金融機関に勤務する受験者が職場研修として一斉受験するケースが多い)によるところもありますが、独学者にとっては日本FP協会の合格率が一番高いのは事実です。
「どちらを選ぶべきか」の判断フロー
3科目から1つを選ぶときの判断基準を、典型的なパターン別に整理します。
業界未経験者・FP独学者・主婦・学生 → 日本FP協会「資産設計提案業務」
金融業界に勤務していない、これからFPの知識を活かして家計管理や副業に役立てたい、という方には日本FP協会の資産設計提案業務が最適です。出題が6分野均等で偏りが少なく、合格率も高め。市販テキストや過去問集が圧倒的に充実しているので独学のしやすさでも有利です。
保険会社・保険代理店所属の方 → 金財「保険顧客資産相談業務」
生命保険・損害保険会社に勤務していて、業務上の知識をそのまま活かせる方は金財の保険顧客資産相談業務を選ぶと、職場での試験対策研修も受けやすく、業務知識との重複部分が多いため学習効率が上がります。出題はリスク管理・タックス・相続に偏っているため、業務経験で補える部分が大きいのです。
銀行員・証券会社員 → 金財「個人資産相談業務」
銀行・証券会社などで個人顧客のライフプラン提案や資産運用提案に携わっている方は、業務との親和性が高い金財の個人資産相談業務がおすすめです。FP3級から2級・1級と進む金融業界の標準ルートでもあり、社内研修制度の対象になっていることが多いのも理由です。
とくに業界の縛りがない・迷ったとき → 日本FP協会
もし「どれを受けるか迷っている」「とにかく合格したい」という方は、合格率が最も高く教材も豊富な日本FP協会を選んでおけば間違いありません。資格としての価値・名称はどちらの団体で取っても同じ『3級ファイナンシャル・プランニング技能士』です。
各実技試験の頻出論点
合格戦略を立てるうえで、選んだ実技科目の頻出論点を把握しておくのは必須です。それぞれ実際に過去問で繰り返し問われているテーマを整理します。
日本FP協会「資産設計提案業務」の頻出論点
- ライフプラン作成:ライフイベント表からの年齢・必要資金の読み取り
- キャッシュフロー表:変動率を反映した将来年収・支出・年間収支・金融資産残高の計算
- 6つの係数:終価係数・現価係数・年金終価係数・減債基金係数・年金現価係数・資本回収係数の使い分け
- 税金計算:給与所得・退職所得・所得税の速算表計算
- 不動産:建ぺい率・容積率・不動産取得税・登録免許税・譲渡所得
- 相続・贈与:法定相続分・相続税の基礎控除・贈与税の暦年課税
- 金融商品:株式の指標(PER・PBR・配当利回り)・投資信託の手数料・新NISA
- 保険:生命保険料控除・地震保険料控除・保険金の課税関係
3問1組のような事例形式ではなく、独立した20問の問題が出題されるため、6分野横断的に薄く広く対策しておくのが効率的です。
金財「個人資産相談業務」の頻出論点
- 公的年金:老齢基礎年金(満額×納付月数÷480)・老齢厚生年金・加給年金・在職老齢年金
- 退職金課税:退職所得控除・退職所得=(収入−控除)×1/2の計算
- 住宅ローン:住宅ローン控除・元利均等返済の月額計算・繰上返済の効果
- 所得税:給与所得・所得控除・所得税額の速算表計算
- 不動産:建ぺい率・容積率・3000万円特別控除・居住用財産の軽減税率
- 相続:法定相続分・基礎控除・小規模宅地等の特例(330㎡まで80%減額)
5事例×3問の構成で、1事例の中で複数分野が複合的に問われるのが特徴。たとえば1事例で「年金見込額+退職金課税+投資運用」のように出題されます。
金財「保険顧客資産相談業務」の頻出論点
- 生命保険商品の選び方:定期保険・終身保険・養老保険・収入保障保険の特徴比較
- 損害保険商品:火災保険・地震保険・自動車保険(自賠責・任意)・PL保険
- 保険料の税務処理:生命保険料控除(新制度・旧制度)・地震保険料控除
- 保険金の課税関係:契約者・被保険者・受取人の関係による所得税/相続税/贈与税の判定
- 退職金・年金:退職所得控除・老齢年金
- 事業承継・相続:法定相続分・生命保険金の非課税枠(500万×法定相続人数)
「契約者・被保険者・受取人がそれぞれ違う場合の税金区分」は毎回問われる頻出ポイント。保険業界の実務知識と直結するため、現場勤務の方には有利な内容です。
学科と実技の同時受験 vs 別日受験
FP3級は学科と実技の両方に合格して初めて資格認定されますが、申込み時に「学科のみ」「実技のみ」「両方」を選択できます。それぞれのメリット・デメリットを整理しました。
| 受験パターン | メリット | デメリット |
|---|---|---|
| 同時受験(おすすめ) | 知識が新鮮なうちに両方合格できる/受験料が一括/拘束時間が1日で済む | 当日の体力消耗が大きい/片方落ちると残り1科目だけ再受験 |
| 学科→実技を別日受験 | 科目ごとに集中して対策できる/実技対策の時間を確保しやすい | 受験料が2回分/合格まで時間がかかる |
| 実技→学科を別日受験 | 実技を先に固めることで応用力がつく | 順序が逆で非効率/知識ベースが固まらないと実技で苦戦する |
結論としては、学科と実技は同時受験が圧倒的におすすめです。学科で覚えた知識が新鮮なうちに実技を解くのが効率的で、CBT試験では同日午前学科・午後実技という連続受験も可能です。
実技対策の勉強法
1. まず学科を仕上げる(最優先)
実技は学科の知識をベースに事例で応用する試験です。学科で60点を安定して取れるレベルに達する前に実技対策を始めても効率が悪いので、まずは学科の重要論点(用語・制度・数字)を固めましょう。本サイトのFP3級 用語フラッシュと頻出計算式30選を併用すると効率的です。
2. 過去問3〜5回分を解いて事例形式に慣れる
実技試験の最大の特徴は事例形式での出題です。問題文が長く、家族構成・収入・支出・保有資産・ライフイベント表などの情報がぎっしり詰まっています。情報の取捨選択に慣れるには、選んだ実技科目の過去問3〜5回分を一通り解くのが最短です。1回目は時間を計らず丁寧に、2回目以降は60分以内で解く練習をしましょう。
3. 電卓操作と係数表の使い方に慣れる
実技は計算問題が多く、電卓を素早く叩けるかが時間配分に直結します。とくにキャッシュフロー表(変動率反映)の計算・退職金課税・住宅ローン控除・相続税の按分は電卓操作の量が多いので、住宅ローン返済シミュレータや退職金税金シミュレータで実際の計算ロジックを体感しておくと、本番で値の妥当性チェックができるようになります。
4. 6つの係数の使い分けを完全マスター
日本FP協会・金財どちらでも6つの係数の使い分けは必出論点です。係数表自体は問題に提示されるので暗記は不要ですが、「将来の元利合計→終価係数」「将来の目標額に必要な現在の元本→現価係数」のように、用途と係数名を即座に結びつける練習が必要です。本サイトの頻出計算式30選に係数の使い分けが整理されているので、試験直前に再確認しましょう。
5. 試験前日は「数字の最新値」を確認する
FP3級は最新の法改正・数値が問われる試験です。古いテキストの数字(旧NISA・旧生命保険料控除・旧住宅ローン控除など)を覚えたまま本番に臨むと致命傷になります。試験前日は本サイトの2026年版 法改正・最新数値まとめで最新値を一気に確認するのがおすすめです。
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合格までの全体戦略を確認するなら【2026年版】FP3級 合格ロードマップ、6分野の重要論点を体系的に押さえるならFP3級 6分野まとめ、計算問題対策には頻出計算式30選、用語の即答練習にはFP3級 用語フラッシュ、住宅ローン計算の感覚づくりには住宅ローン返済シミュレータ、退職金課税の練習には退職金税金シミュレータをご活用ください。
よくある質問(FAQ)
Q. FP3級の実技試験は学科と同じ日に受験できますか?
A. はい、学科試験と実技試験は同日に受験することが可能です。CBT試験では同日午前・午後の連続受験も可能で、受験申込み時に学科のみ・実技のみ・両方のいずれかを選択できます。片方だけ合格した場合は『科目合格』として翌々年度末まで有効です。
Q. 日本FP協会と金財、どちらの実技を選ぶ方が合格しやすいですか?
A. 合格率は日本FP協会『資産設計提案業務』が約80%、金財『個人資産相談業務』が約60%、金財『保険顧客資産相談業務』が約50%で、日本FP協会の方が高い傾向です。受験者層の違いも影響していますが、独学者には日本FP協会が比較的取り組みやすいです。
Q. 実技試験で電卓は使えますか?
A. はい、ペーパー試験・CBT試験ともに電卓が使えます。CBTの場合は画面上に電卓が表示されるほか、持参した電卓も使用可能。関数電卓・プログラム機能付き電卓は禁止です。係数表は問題用紙(CBTでは画面)に提示されるので暗記の必要はありません。
Q. 実技試験は記述式ですか?それとも選択式ですか?
A. FP3級の実技試験は学科と同じく完全な選択式(マークシートまたはCBTでの選択)です。FP2級から記述式が一部含まれますが、FP3級では計算過程を書く必要も、文章で説明する必要もありません。
Q. 実技対策は学科対策とは別に時間が必要ですか?
A. 学科の知識がベースなので大きく時間を分ける必要はありませんが、事例形式に慣れる練習が10〜20時間ほど必要です。過去問3〜5回分を解き、係数表の使い方・キャッシュフロー表の読み方・税額計算の手順を体に染み込ませましょう。